米の需給に関する情報

飼料用米の収量アップを目指して適切な栽培管理を

2024年4月12日

収量アップを目指して

飼料用米多収品種への切り替えはお済みですか?

令和6年産から国の飼料用米支援方針の見直しに伴い、一般品種による飼料用米への支援水準が段階的に引き下げられます。一方、多収品種による飼料用米への支援水準は変わりません。

助成単価
多収品種とは

知事特認として国から認められた「月の光」、「あきだわら」、「ちほみのり」の3品種と国が定める以下の21品種です。

  • 夢あおば
  • いわいだわら
  • えみゆたか
  • オオナリ
  • きたげんき
  • 北瑞穂
  • クサホナミ
  • たちじょうぶ
  • ふくのこ
  • ふくひびき
  • べこあおば
  • べこごのみ
  • 北陸193号
  • ホシアオバ
  • ミズホチカラ
  • みなちから
  • モグモグあおば
  • もちだわら
  • モミロマン
  • 笑みたわわ
  • 亜細亜のかおり

知事特認品種
  • 月の光
  • あきだわら
  • ちほみのり

 

多収品種としての支援を受けるためには、多収品種で取り組んだことが証明できる書類(購入伝票等)が必要です。自家採種で行った場合も元種を購入した伝票等を大切に保存してください。

種子の注文時期になりましたら、「夢あおば」、「月の光」、「あきだわら」は、各JA・集荷業者まで、その他品種については、取り扱いのある種子販売事業者まで、お問い合わせをお願いします。

飼料用米の収量アップを目指して適切な栽培管理を

ポイント
  • 令和6年産以降の助成制度の変更を踏まえ、多収品種を作付ける
  • 地力の低いほ場は避け、土づくりや適切な肥培管理を行う
  • イネ縞葉枯病多発生地域(県西・県南の一部地域)では、抵抗性品種を作付ける
    イネ縞葉枯病抵抗性を有する多収品種 夢あおば、月の光など
  • 病害虫の適切な防除を行う(ウンカ、カメムシ、いもち病など)
茨城県で作付の多い多収品種ベスト5(令和5年産)
茨城県で作付の多い多収品種ベスト5(令和5年産)

1位 夢あおば 1,992ha
2位 あきだわら(特認) 933ha
3位 月の光(特認) 800ha
4位 オオナリ 520ha
5位 ちほみのり(特認) 256ha

主な多収品種の特性

ちほみのり
早晩性極早生
移植期4月28日
出穂期7月9日
成熟期8月14日
耐倒性
稈長67.4cm
精玄米重67.0kg/a
玄米千粒重22.6g
葉いもち抵抗性
イネ縞葉枯病抵抗性罹病性
脱粒性未調査
穂発芽性やや易
  • 茨城県知事特認品種
夢あおば
早晩生早生
移植期4月24日|5月22日
出穂期7月17日|8月1日
成熟期9月6日|9月24日
耐倒性極強
稈長86cm|91cm
粗玄米重90.1kg/a|78.3kg/a
玄米千粒重23.9g|25.2g
葉いもち抵抗性不明
イネ縞葉枯病抵抗性抵抗性
脱粒性
穂発芽性
  • WCS兼用品種
  • 茨城県奨励品種
べこあおば
早晩性早生晩
移植期4月23日|5月21日
出穂期7月23日|7月31日
成熟期9月3日|9月19日
耐倒性
稈長74cm|76cm
粗玄米重89.2kg/a|85.8kg/a
玄米千粒重30.1g|30.7g
葉いもち抵抗性
イネ縞葉枯病抵抗性罹病性
脱粒性
穂発芽性やや易
  • WCS兼用品種
  • 障害型耐冷性弱
オオナリ
早晩性中生
移植期5月21日
出穂期8月9日
成熟期10月9日
耐倒性やや弱
稈長83cm
粗玄米重88.9kg/a
玄米千粒重22.3g
葉いもち抵抗性
イネ縞葉枯病抵抗性抵抗性
脱粒性やや難
穂発芽性
  • 「タカナリ」の脱粒性改良系統
  • トリケトン系除草剤成分に感受性
  • 種子の休眠性深い
北陸193号
早晩性中生
移植期5月2日|5月21日
出穂期8月9日|8月14日
成熟期9月2日|10月17日
耐倒性やや強
稈長85cm|92cm
粗玄米重90.9kg/a|89.1kg/a
玄米千粒重23.0g|23.6g
葉いもち抵抗性不明
イネ縞葉枯病抵抗性抵抗性
脱粒性やや易
穂発芽性
  • 種子の休眠性深い
あきだわら
早晩性晩性
移植期5月21日
出穂期8月13日
成熟期10月10日
耐倒性やや強
稈長88cm
粗玄米重74.6kg/a
玄米千粒重21.8g
葉いもち抵抗性
イネ縞葉枯病抵抗性罹病性
脱粒性
穂発芽性やや難
  • 茨城県知事特認品種
月の光
早晩性晩性
移植期5月22日
出穂期8月16日
成熟期10月3日
耐倒性
稈長87cm
粗玄米重64.6kg/a
玄米千粒重22.6g
葉いもち抵抗性
イネ縞葉枯病抵抗性抵抗性
脱粒性
穂発芽性やや難
  • 茨城県知事特認品種
  • 茨城県奨励品種

適切な栽培管理の詳細については、こちらのページをご覧ください。

飼料用米ガイド

令和7年産飼料用米の種子確保について

令和6年産から飼料用米の助成制度が変更されることに伴い、多収品種の種子の需要が高まる見込みです。
このため、令和6年産で飼料用米として多収品種を作付けし、7年産も作付けを予定される方は、自家採種による種子確保にご協力をお願いいたします。
その際は、発芽不良や異品種混入を防止するため、以下の点に留意をお願いします。

本田管理
  • 健全な種子を生産するため、種子消毒を徹底します。
  • 倒伏防止のため、通常の飼料用米栽培より施肥窒素を1〜2割減肥するとともに、中干しで田面を固めます。
  • 前年と異なる品種を作付し自家採種する場合、前年のこぼれ粒からの漏生異品種の混入を最小限にするため、雑草イネ防除に有効な除草剤を移植前から移植後に処理します。
  • 移植した株以外の稲はできる限り抜き取り、異品種の混入を防止します。作業は畦間が見通せる時期に行います。
  • 隣接田から苗が流れ込むこともあるので、特に水口付近は注意します。
収穫作業
  • 収穫適期は、穂首近くに緑色を残した籾が穂全体の5%程度になった頃、一般米の適期より2〜4日後です。早刈りは発芽率の低下に繋がります。
  • 収穫は、籾の水分が25%以下になったことを水分計で確認してから行います。籾水分が高い状態で収穫すると、籾の損傷や発芽不良が発生しやすくなります。早朝や降雨後の収穫は特に注意してください。
  • 倒伏した場所や成熟ムラの大きい場所からの採種は、発芽率の低下に繋がるので避けてください。
  • 作業中の籾詰まりや損傷籾の発生を防止するため、コンバインの作業速度は控えめにし、扱胴の回転数は通常より15%程度落として作業します。
  • コンバインは完全に清掃しても残粒付着の可能性があるため、刈り始めの1俵分程度は種子に用いません。
乾燥作業
  • 従来の循環式乾燥機を使用する場合は、送風温度40°C以下で時間当たりの乾減率0.7%以内で乾燥させます。
  • 遠赤外線仕様の循環式乾燥機を使用する場合は、必ず時間当たりの乾減率0.5%の「種子モード」で乾燥させます。標準モードで乾燥すると発芽率が著しく低下します。
  • 籾の水分は14.5%以下に仕上げます。

 

  • 異品種の混入を防止するため、コンバイン、乾燥機、運搬車、スクリューコンベアーなどは作業前に十分清掃してください。
  • 「オオナリ」や「北陸193号」など種子の休眠性が深い多収品種では、浸種前に必ず休眠打破を行ってください。

自家採種の疑問にお答えします

Q自家採種するために、許諾を得る必要はあるの?
A

登録品種の場合、育成権者に許諾を得る必要があります。
ただし、農研機構の登録品種(多収24品種のうち「月の光」「いわいだわら」「クサホナミ」「ふくひびき」「ホシアオバ」の5品種を除く19品種)については、遵守事項を条件に許諾申請不要で無償で自家採種分の増殖が可能です。

遵守事項とは、「当該登録品種の種苗を用いて得た収穫物を種苗として有償・無償に関わらず第三者に譲渡しないこと。」などです。

 

Q 自家採種した種子は、隣人に渡してもいいの?
A

自己の経営のために採種した登録品種の種子は、有償・無償を問わず他人への譲渡や海外への持ち出しはできません。

 

Q 経営所得安定対策上で特別な手続きは必要なの?
A

飼料用米から次年度用の種子を自家採種する場合、事前に6月に国に提出する「新規需要米取組計画書」に記載することとなっています。
なお、JA等の集荷業者に出荷する生産者につきましては、その旨を事前(契約時)に伝えてください。

 

Q ほかに自家採種する際の注意点はあるの?
A

健全な種子を生産することが重要です。そのため、種子に仕向ける場合は、ばか苗病などの種子伝染性の病害虫が発生していないほ場から収穫したものを仕向けましょう。
また、効果の高い化学農薬等による種子消毒の徹底を心がけましょう。
その他、前項に留意点をまとめてあるのでご覧ください。

チラシをダウンロード